マンションの竣工からまたは前の大規模修繕工事から10年が経過すると、管理会社が「建物診断をしました。修繕が必要です。」と言って報告書を提出することがあります。または、長期修繕計画書に建物診断が計上されていますからと言ってかなりの金額の調査を提案されることもあります。

大規模修繕工事の建物診断は誰がすべきなのか

当センターでは、建物診断とは、あくまでも大規模修繕の時期を特定することが目的であると考えています。営利企業ではなく、また、工事を請け負うこともないため、工事ありきの診断はしません。実際に建物診断の結果、工事を3年先送りしたこともありました。

診断結果によっては、すみやかに、または遠からず、修繕工事に着手するのですから、多額の費用をかけて機械調査をする必要はないと考えています。機械調査の結果は分厚い報告書として提出され、いかにも高額な費用に見合う体裁にはなりますが、これらはあくまでもサンプリングでしかないのです。実際に工事が始まれば、外壁周りに足場をかけて全数調査を実施するわけですから、多額の費用をかけての機械調査は不要と考えます。当センターでは、大規模修繕の設計業務の中で管理組合に費用負担をかけずに同じ内容の調査を実施しています。

建物診断は工事ありきでない立場の人間が、なるべく費用をかけずに行うべきであるというのがセンターの考え方です。

NPO集住センターの建物診断の特色は

当センターでは、建物診断は、できる限り休日に設定し、管理組合の皆様にご自分のマンションの劣化状況をその目で見て、知る機会にしていただければと考えています。

診断は、マンションに精通した一級建築士が、共用部分の外観を中心に目視や指触、または軽微な道具を用いた打検などで、屋上から順次、建物全体の劣化状況を調べていきます。あわせて、竣工図面類の確認を行います。

診断の流れは以下のようになり、おおむね休日の午前10時にスタートいたします。

  1. 一建築士が図面をチェックします。
  2. 建物全体を管理組合の皆さまとマンションを目視調査していきます。
  3. ご同行頂いた管理組合のみなさまへの診断報告会を同日に実施します。

診断に同行していただくことで、疑問については、その場で、または診断終了後、集会室等で開催する報告会の席上で一級建築士から説明を受けることができます。
理事会の皆様はもちろん、希望される区分所有者の方々にも同行していただくようにお願いしています。

建物診断の後は

センターでは工事ありきの診断はしませんので、建物調査の結果、状態がよければ、なるべく工事は先延す提案をします。現在の積立金残高が圧倒的に不足している場合には、その対応策を管理費会計の支出見直しなどもアドバイスします。

また、30年前後のマンションの場合は、建物の塗装や防水以外にも、給水排水設備などの改修工事も検討しなければならない場合もあります。限りあるお金をどうやりくりし、必要な工事を適正価格で実施するかを管理組合の立場で考えていきます。