最近、「管理組合の役員に外部の専門家を頼みたい」とのご相談が増えています。
背景として、近年の管理組合の高齢化や賃貸化による役員のなり手不足が第一に挙げられますが、設備の高度化によってマンションの管理に専門性が必要になったこと、さらに共同生活のルールを守らない住民の増加や民泊等々によるトラブルの増加もあるようです。

国土交通省は、平成24年の「マンションの新たな管理方式の検討」の中で、管理組合の高齢化や賃貸化等によって、次のような問題を引き起こす可能性を指摘しています。

  1. 役員就任の忌避
  2. 特定の区分所有者への負担など管理形骸化
  3. バリアフリー改修・耐震改修などの先送り
  4. 空室の増加等によるスラム化
  5. マンションの資産価値の低下

こうしたことから、国土交通省が作成するマンション標準管理規約にも「マンションの状況によっては、外部の専門家が、管理組合の管理者等又は役員に就任することも考えられる。」とのコメントが追加され、その際の規約改定の方法などについても具体例が示されました。

外部管理の方式

当センターでは、以下の3つの方式で外部管理を行っています。

1. 事務作業サポート方式(自主管理マンションの場合)

管理組合の帳簿等の資料をご提供いただき、管理組合に代わって総会資料や会計報告書を作成、総会に出席して内容をご説明します。

理事会には出席しません。

2. 専門家を役員等として派遣する方式

専門家を役員等として派遣する方式

マンション管理士などの専門家が理事長以外の理事または監事に就任し、理事会に出席して以下の業務などについてアドバイスします。

  1. コスト削減や管理組合収入向上の検討
  2. 管理規約や使用細則などの適切な運用
  3. 管理会社の業務内容に対するチェック、指示(自主管理マンションを除く)
  4. 総会の議案書、会計報告書の作成および総会支援
  5. 長期修繕計画の策定・見直し
  6. 大規模修繕工事等の検討
  7. 防災、防犯体制および保険等の見直し
  8. その他、日常の管理に関する業務

役員としてではなく、顧問(アドバイザー)として理事会等に出席する方式もあります。

理事として派遣した場合は、原則として理事会における議決権を持ちます(規約で外部役員の議決権を制限することも可能です)。監事は理事会のメンバーではなく、主な業務は理事会や会計のチェックで、議決権はありません。

3. 第三者管理者方式

建物の区分所有に関する法律(区分所有法)が規定する管理者には次のような権限と義務があり、それぞれについて区分所有者を代理すると規定されています。

  1. 共用部分、敷地及び付属施設の保存
  2. 集会の決議、規約で定めた行為の実行
  3. 損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領

第三者管理者方式では、区分所有法上の管理者に与えられた権限を前提に、通常管理組合に置かれている「理事長」「副理事長」といった役職や、「理事会」を原則としてなくし、管理組合に選任された外部の専門家などが上に挙げた業務などを行います。

料金について

当センターの会員の皆様には、日常的なマンションの管理に関する電話、FAX、電子メール、文書、またはご来所いただいてのご相談は無料です。また、会員向けの無料訪問(年1回)も行っています。通常の会員サービスとは別に、役員等の派遣や事務サポートを行った場合の料金は以下のとおりです。

1. 事務作業サポート

理事会への出席を前提としない事務サポートは年額6万円(税別)が基本となります。

2. 専門家を役員等として派遣

理事または監事として派遣した場合は、理事会の開催頻度に応じ、月額1万円~3万円(税別)となります。

3. 第三者管理者方式

管理者又は理事長を派遣した場合は、理事会の開催頻度に応じ、月額3万円~5万円(税別)となります。

なお、上に挙げた業務のうち、管理規約の全面改定、長期修繕計画策定・見直し、大規模修繕コンサルティング等の業務には別途料金がかかります。