管理委託費の適正化診断

センターでは、経験と実績を基に把握した委託費相場に基づき、日経新聞にも過去2回、委託費の目安を公表しています。

管理委託費の適正化診断

しかしながら、紙面の制約もあり、委託費の目安は戸数、管理会社によっても変動しますので、センターでは会員管理組合に対して管理会社と締結している管理委託契約が適正かどうか、アドバイスします。

それに基づき、多くの会員が管理会社との契約更新に向け、交渉し、一定の成果があったとの報告を受けています。

さらに、適正価格には程遠いのに、管理会社との交渉が進まない場合には、他の管理会社からも相見積もりをとり、比較検討する場合もあります。

こうして捻出したお金は修繕積立金に振り替えます。

国土交通省は標準管理規約の中で使用料について

「駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる。」としています。

また、「機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要することから、管理費及び修繕積立金とは区分して経理することもできる。」とコメントしています。

つまり、機械式駐車場はその修繕や取り替えに多額の費用を要する設備であるため、その使用料の使途については慎重さが求められていますが、管理費でその使用料を費消してしまっている管理組合が多数です。

少しでもあるべき姿である駐車場収入の修繕積立金への振り替えを実現するため、管理費で最も大きなウエイトを占める管理委託費の精査は避けては通れません。

管理会社変更

上記のような金額的な問題のほかにも、管理会社との信頼関係がなくなっているといった場合にも、変更を前提に公平校正に複数の管理会社を検討し、選定するお手伝いをします。

複数の管理会社に見積もり依頼をすることはボランティアの理事会には荷が重い場合もありますので、センターが事務的な作業を行うことも可能です。

管理会社との付き合い方

管理会社は管理の大切なパートナーです。

管理会社は下僕でもご主人様でもありません。顔色をうかがいすぎたり、逆に、長時間、理事会に付き合わせたりは止めましょう。

節度をもってビジネスライクに対応してください。

管理会社を評価する10のチェックポイント

  1. 毎月1回、管理組合理事会に会計報告をしているか?

    マンション管理適正化法で、管理会社は月に一度、理事長に会計報告をする義務がありますが、毎月理事会を開催しているのであれば、その席で報告をしてもらいましょう。そうすることによって、管理組合のお金がどのように使われているかわかるようになります。

  2. 管理費滞納の報告が毎月あり、適切な対応とアドバイスがされているか?

    管理費の滞納について、理事会開催時に報告されていますか。もし、滞納が発生していれば、どのように督促しているのかも説明してもらっていますか。滞納が長期に及ばないためには早めの対処が必要です。管理費は管理会社の債権ではなく、管理組合の債権ですから、長期滞納は管理組合の責任(法律上の当事者)になります。

  3. 管理担当者は、マンションを定期的に訪問し、問題点について把握しているか?

    担当者がマンションにほとんど顔を出さないようでは、管理状況を把握しているとは言えません。また、修繕工事完了の報告などは担当者が直接確認してから報告されていますか。ただ、工事完了後のチェックは、理事会でもしておく必要があります。管理会社任せではいけません。

  4. 管理員は誠実に業務を行っているか? 住人に平等に接しているか?

    管理員が住人によって態度を変えたり、特定の住人に対して過剰に親しくまたは厳しく対応しているようなことはありませんか。また、マンションの中をくまなく巡回し、問題点を迅速に管理会社に報告するなど連携はとれていますか。

  5. 建物の補修提案はマンションの現状に沿った内容になっているか?

    管理会社の都合や長期修繕計画書通りだからと、不要な工事が提案されていませんか。緊急的な工事は別として、管理会社が提案してきている建物の補修案などは本当に必要な工事か、管理組合側でも第三者の専門家に依頼して確認をする必要があります。

  6. 長期修繕計画作成は管理委託業務から外れているか?

    2009年の国土交通省の標準委託契約書改正で、長期修繕計画作成業務は管理委託契約とは別個の契約とすることが原則となりました。当該業務はマンションの劣化状況などを把握するための調査・診断等を実施する必要があり、経費も相当な額を要するものとなる等業務内容の独立性が高く、また、必要な年度に特別に行われるものであるからです。委託契約書をご確認ください。

  7. 議事録は管理組合の決議に沿った内容に書かれているか?

    総会及び理事会の議事録の素案は、管理会社が作成して理事長に提出することが多いと思いますが、管理組合の決定事項は正しく記載されていますか。また、管理会社にとって都合がよくないことがあった場合にでもそれを議事録に正しく記載していますか。理事会で案を検討し、正しく修正をするようにしてください。

  8. 理事会の要望を迅速に実行に移してくれているか?

    理事会が抱える課題に対し、担当者はきちんとアドバイスをしてくれていますか。問題が起こった時にその解決のための具体的な提案を行ってくれていますか。理事会からの依頼は約束した期限までに実行されていますか。

  9. 組合員名簿は管理組合に帰属していることを理解しているか?

    管理会社によっては、組合員名簿について「個人情報なので…」と必要な情報提示を拒む場合がありますが、管理組合名簿の所有権は管理組合に帰属するものです。誰彼なく情報提供するようではいけませんが、理事長からの請求には応ずる義務があります。

  10. 管理委託契約の内容は適正か?

    「管理委託契約書の内容は適正なのか」「委託費用が高すぎるのではないか」というのが管理組合の関心事だと思います。管理会社に支払う費用は管理委託契約書の項目により決まってきますが、その積算根拠はまちまちです。