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管理規約はマンションを管理・運営する上で基本となるルールです。
マンションに住んでいても、「管理規約など読んだことがない」という方が少なくないようですが、規約を理解していなかったために思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。

当センターの会員の方々からも、昭和に建ったマンションなのに、分譲時から一度も規約を見直したことがなく、規則が形骸化していたり現在のライフスタイルに合わなくなっている。管理費と修繕積立金の分別管理が適切に行われていないために、修繕資金が借りられず、規約を見直したいなどのご相談が寄せられています。

また、最近の傾向として、暴力団などの反社会的勢力の排除やいわゆる「民泊」の規制、相次ぐ大地震などの災害時の対応についても規約に明記したいとのお問い合わせも増えています。
「管理規約」の内容の一部は、仲介業者が売買や賃貸を斡旋する際の重要事項説明にも含まれているため、利害関係人から閲覧の要求があった場合、原則として応じる必要があり、対外的な信頼性という点で資産価値に影響することも考えられます。

管理規約を見直す場合、国土交通省が作成している「マンション標準管理規約」が参考になりますが、マンションには、タイプ別に大きく分けて

  1. 単棟型(基本的に1棟建ての一般的なマンション)、
  2. 団地型(複数の棟から成り立ち、通路や敷地などの一部を共有している)、
  3. 複合用途型(住居部分、店舗部分、事務所部分などに分かれているマンション)

の3つがあり、それぞれ、共通する部分と異なる部分があります。また、同じ単棟型でも、都心型、郊外型、リゾート型などのタイプによって、着目すべき点が異なるので、規約の見直しに際しては、まずは、マンション管理士などの専門家にご相談されることをお勧めします(当センターでは、会員組合向けに無料の規約・細則診断を行っています)。

管理規約とは

マンションには、様々な世代、家族構成の人たちが住み、それぞれが多様な価値観を持っています。国土交通省が作成する「マンション標準管理規約(管理規約のモデル)」の第1条には、「この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする」とあり、「管理規約」は「複数の居住者が一つのマンションで快適に暮らすために、全員が守るべきルール」といえます。

管理規約が対象とする範囲は、階段、通路、エレベーターなどの共用部分の他、敷地や付属施設、さらに専有部分についても「住居」以外の用途とすることを禁止するなど、専有部分の使用について制限することができます。

使用細則とは

管理規約をマンションの「憲法」とするならば、個々の法律が「使用細則」です。使用細則では、日常生活における具体的な注意事項を規定するのが一般的で、「共用部分で喫煙をしてはならない」など基本的ルールの他、専有部分を修繕する場合の申請手順や駐車場、自転車置場などの使用など、必要に応じて策定されています。

なぜ管理規約の見直しが必要なのか

1. 規約が分譲当初から改正されておらず関係法令に適合していない

マンションのように、1棟の建物を複数の人たちが区分して所有する場合の所有関係や共同管理などについて定めた「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」は、昭和37年に制定され、以降、昭和58年と平成14年に改正されています。また、阪神淡路大震災後に制定された「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年)」、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年)」、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年)」など、災害やマンションの老朽化にともなう法整備もありました。

築年数が経過していて、分譲当初から一度も規約が見直されていない場合、これらの法整備に対応していないものがほとんどで、トラブルが発生した場合、規約の有効性などをめぐって訴訟に発展する可能性もあります。

2. 暴力団排除や民泊規制などの今日的課題に対応できていない

現在の「マンション標準管理規約」の基となっている「中高層共同住宅標準管理規約」は昭和57年に策定され、その後、平成6年、16年、23年、28年と4度の改正が行われました。

平成28年の改正では、「暴力団員の排除」に関する規定の他、大地震などの災害を教訓に、「災害時における専有部分への理事等の立入り」や「応急修繕などの組合の意思決定(理事会採択)」等々が盛り込まれました。

また、標準管理規約には規定されていませんが、マンションの専有部分を宿泊施設として活用するいわゆる「民泊」が問題になっており、国土交通省も「民泊」の是非を管理規約に規定しておくべきとの見解を示しています。

3. 資産価値への影響

不動産仲介を行う宅地建物取引業者が行わなければならない「重要事項の説明」には、「建物の計画的修繕積立金の規約(案)があるときはその内容および既に積み立てられている額」、「共用部分に関する規約(案)がるときはその内容」、「一部を特定の者のみに使用を許す旨の規約(案)があるときはその内容」などが含まれています。

さらに、宅建業者やマンションを買う(借りる)予定の人から管理規約や使用細則の閲覧を求められた場合、管理組合には原則、閲覧させる義務があります。

この際、規約や細則に最低限規定されているべき事柄が抜けていたり、法律に適合していなかったりすれば、「日常の管理も行き届いていないのでは」との疑念をもたれかねません。

また、自主管理で運営されているマンションには、管理費と修繕積立金を区分せずに経理している管理組合が少なくありませんが、大規模修繕資金などの低利融資を行っている住宅金融支援機構に修繕資金の借入れを申し込む場合、区分経理は必須事項となっています。マンションの修繕は、資産価値に直接影響する事業であり、規約上も、区分経理を明確にしておく必要があります。

規約改定の手順

1. 管理規約のチェック

まず、管理規約を専門家がチェックします。

2. 問題点の指摘、ご要望聴取

理事会や専門委員会を訪問し、規約の問題点を指摘します。あわせて管理組合のご要望を伺います。

3. 改正原案の作成

改正原案を「新旧対比表」のかたちでご提案します。

4. 使用細則の見直し、作成

規約の改正にともない必要となった使用細則の改正、また、必要に応じて新規細則の作成を提案します。

5. 管理組合へのご説明

理事会、専門委員会等で改めてご意見を聞き、ご要望を取り入れます(数回の検討会を行います)。

6. 説明会の開催

理事会等への数回のご説明・修正を行った後、区分所有者全員を対象とした説明会を開催し、ご意見を聴取します。

7. 理事会で最終案の確認

説明会後、最終案を作成し、理事会で決議していただきます。

8. 総会決議

総会の場で改正案の審議・決議をしていただきます。

9. 新管理規約、細則の成立

総会で可決されしだい、規約・細則原本を納品し、新たな規約・細則発効の手続きを行っていただきます。

以上は一般的な流れですが、説明会を省略し、書面で改正案を配布するなど、簡略化することも可能です。